作品概要
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・タイトル:つぐない
・原題:Atonement
・公開:2007年(日本公開は2008年)
・制作国:イギリス・フランス・アメリカ
・監督:ジョー・ライト
・キャスト:
キーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)…セシーリア・タリス
ジェームズ・マカヴォイ(James McAvoy)…ロビー・ターナー
シアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)…ブライオニー・タリス(13歳)
ロモーラ・ガライ(Romola Garai)…ブライオニー・タリス(18歳)
ヴァネッサ・レッドグレイヴ(Vanessa Redgrave)…ブライオニー・タリス(老年)
ベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)…ポール・マーシャル
今回は2007年公開の『つぐない』の感想を書いていきます。
あらすじ
1935年のイギリス。物語を書くことが好きな13歳の少女ブライオニー・タリスは、上流階級の両親と姉のセシーリアと共に郊外の屋敷に住んでいる。
ブライオニーは屋敷の使用人の息子ロビーに憧れているが、ロビーはセシーリアに想いを寄せており、セシーリアもまたロビーへの想いに素直になれずにいた。
ある日、ブライオニーはセシーリアがロビーの前で下着姿になる光景を窓から見てしまい、ロビーに対して不信感を抱く。その日、タリス家のパーティに招待されたロビーは、セシーリアへ謝罪の手紙を書いていた。言葉が上手くまとまらないロビーは、つい本音をぶちまけた卑猥な文をタイプライターで打ってしまう。
ロビーはパーティーに行く途中で出くわしたブライオニーに謝罪の手紙をセシーリアに渡すよう託す。手紙の中身が悪戯に打った卑猥な文の方だったと気づいたのは、すでにブライオニーが中身を読んでしまった後だった…
キャスト
シアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)…ブライオニー・タリス役
主人公ブライオニー・タリス役の少女期を演じたのはシアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)。
1994年4月12日、アメリカ合衆国・ニューヨーク生まれ。
アイルランド人の両親の元(父親は俳優)に生まれ、3歳の時にアイルランドに移住し9歳から子役としてテレビドラマに出演する。13歳の時に出演した今作品でアカデミー助演女優賞にノミネートされて注目を集めた。
以降は、『ラブリーボーン』『ハンナ』『ブルックリン』『レディ・バード』など多くの作品で主演を演じている。これまで数多くの受賞歴があり、アイルランドを代表する若手俳優の一人である。
キーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)…セシーリア・タリス役
主人公の姉、セシーリア・タリス役を演じているのはキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)。
1985年3月26日生まれ、イングランド・ロンドン出身。
舞台役者の父と劇作家の母の元に生まれ、幼少期より演技に興味を持つ。
1993年、テレビドラマでデビューした後、1999年公開の『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』でナタリー・ポートマン演じるアミダラ女王の影武者役に抜擢され注目を集める。
2003年公開のハリウッド大作『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』ではヒロイン役に抜擢され、17歳にしてハリウッドスターの仲間入りを果たした。
代表作として『プライドと偏見』『つぐない』『わたしを離さないで』『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などがある。
ジェームズ・マカヴォイ(James McAvoy)…ロビー・ターナー役
ロビー役を演じるのはジェームズ・マカヴォイ(James McAvoy)。
1979年4月21日生まれ、スコットランド・グラスゴー出身。
1995年に映画デビュー。2005年公開の『ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女』のタムナス役で国際的に知られるようになる。
代表作として、『ラストキング・オブ・スコットランド』『ウォンテッド』『X-MEN』シリーズなどがある。
感想
※この記事はネタバレがあります。未視聴の方はご注意ください。
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人生には不運な出来事の積み重ねで運命が大きく変わってしまうことが稀にある。
「あの時、もしこうだったら…」
この物語は、一つでもその出来事が回避できればこんな結果にはならなかったのに…という悲劇である。
もし、壺が割れていなかったら?
もし、従妹たちが遊びに来ていなければ?
もし、ポール・マーシャルが家に来ていなければ?
もし、ロビーが直接手紙を渡していたら?
もし、セシーリアの髪留めが落ちなければ?
結果として、主人公ブライオニーがついた嘘がきっかけで、結ばれるはずの男女の愛が引き裂かれてしまう話ではあるが、結論から言うと悪者はブライオニーではない。
悪いのは、あのロリコン男と戦争である。
結局あのロリコン男は制裁されることはなく、その後も何事もなかったかのように生きているのがとても胸糞悪かったけども、それよりもやはりあの二人が二度と結ばれることがなかったことが悲しすぎた。
いや、厳密にいえば二人は結ばれた。一夜のほんのわずかな時間だけ。
中盤からはもう見ているのが悲しくて、一通り観た後に、最初に戻って噴水のシーンを何度も繰り返して観た。
その後の展開を知っている側からすると、噴水での二人の戯れ事が本当に尊い時間に感じた。
好きなのに素直になれず、相手からの何かしらのモーションを期待してしまう駆け引きの時期。
そのモーションがなかなか無いことに苛立つセシーリア。
まさか皮肉にも間違って書いた卑猥な手紙が二人を結びつける引き金になったとは。
図書室での情事がブライオニーに見られてしまうシーンの描写は、窓ガラスにへばりついたカエルのようで居たたまれなかったが、その直後の二人のスマートな身の正し方には感心した。流石は上流階級者である。
その後のディナーの時にも二人の甘い時間は続いていて、テーブルの下で手を握っているのが微笑ましかったし、双子の手紙を持ってきたブライオニーに慌てて声を掛けるセシーリアのシーンはコントのようで吹き出してしまった。
その後に展開は急変して悲劇が起きてしまう。
4年後、18歳になったブライオニーは自分がしてしまったことの重大さと罪の呵責を感じている。
ブライオニーがセシーリアとロビーに直接会って謝罪する創作の場面では、ロビーはブライオニーに対して物凄くきつく当たる。
これはブライオニーが自分は「赦されるべきではない」と思っていたからだろう。
なぜなら現実世界では二人の愛が報われることはなかったから。
「私ができる最後のこと」
と言って、小説家になったブライオニーが最後の作品として二人の幸せな結末を描いたのは、その言葉の通り、死ぬ前に償いをするべきだと決めていたからだろう。
ブライオニーは、償うことで自分の心の負担が軽くなることを許さなかった。
そう考えると、生涯をかけて罪の意識を持ち続けたことこそがブライオニーの二人に対する贖罪ではないだろうか。
そして、悲劇が起きる前の噴水のシーンを読者が何度も読み返す必要が無いように、二人が幸せに暮らす結末を描いたのだ。
ブライオニーを演じた三人の女優
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主人公のブライオニーは年齢ごとに三人の女優が演じている。
少女時代を演じたのは『ハンナ』や『ブルックリン』に出演していたシアーシャ・ローナン。
この子の存在感がとっても良い味を出している。イギリスの美しいお屋敷で過ごすお嬢様感がとてもマッチしていた。
残念だったのは、18歳のブライオニー。骨格から何から全然違うじゃないか。もっと顔の似た女優は居なかったのだろうか…この方のシーンはあまりに13歳のブライオニーと顔が違うので話が頭に入ってこなかった。
そして77歳のブライオニーはヴァネッサ・レッドグレイヴ。『ミッションインポッシブル』のマックス役の人。
こちらは不思議と13歳のブライオニー感があり、演技か素かは分からないが仕草や雰囲気が似ていた。
最後に
この作品、原作は10年ほど前に図書館で借りたことがあったのだが、どうやらパーティでの出来事までしか読めずに返却したらしく、その後の展開がこんなにも悲痛なものだとは思いもよらず精神的に結構なダメージを食らいました。
それだけにやっぱり噴水のシーンは美しい名シーンなんだよなぁ。(何度でも言いたい)
何にしても、やっぱり悲劇は嫌いじゃー!!!(泣)
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